Geometric Simulation of Skins for Its Impression Analysis

Many people are concerned about keeping their skins fine. Fine skins with fine-grained textures bring fine impressions, while dry and dirty skins bring poor impressions. Thus, condition of skin is an important factor to determine his/her impression. It is important to show various skins/faces/textures stored in databases to various people, and collect subjective feedbacks from them, to analyze mutual relationships between conditions and impressions. To store various skins, we think that skin image synthesis by computer graphics is superior to collecting photographed images. This paper presents a technique for geometric simulation of microstructure skins applying a 3D geometric modeling technique. Keyword Skin, Impression Analysis, Geometric Simulation, 3D Modeling 1. はじめに 肌を健やかな状態に保つことは多くの人々にとっ ての関心事である.整った肌はきれいなツヤを生じ美 しい印象を与え,乾燥により荒れた肌はツヤを失い, 美しくない印象を与える.このように,肌状態は顔の 印象を決定する上で重要な要因のうちの一つである. これらの肌状態の違いの一因として,後述する表面構 造の違いがあげられる.よって,表面構造と印象の関 係を分析することは化粧品開発や美容分野において大 変重要な課題であると考えられる. 我々は,肌状態と印象との相関性を分析するシステ ムの開発に取り組んでいる.このシステムの開発にあ たって重要な点として,様々な肌・顔・質感をデー タベース化して提示可能な状態にすること,様々 な人から肌の印象に関する回答を収集して効果 的な感性情報処理を適用すること,などがあげら れる.このうち前者について我々は,肌の実写画 像を収集するよりも,CG 技術を用いて肌画像を 生成するほうが有利であると判断した. 本報告では,主に顔を対象として,様々な肌形状を 再現する 3D モデリング手法を提案する.肌表面モデ リング技術は CG 画像生成を目的として多数発表され ているが,その多くは美しく理想的な肌形状の再現を 主眼としている.それに対して本手法は美容分野の観 点から,肌状態に応じた微小形状の変化を詳細に制御 できることを主眼としている.本手法により,様々な 肌状態の再現と蓄積が容易になると考えられる. 2. 前提知識 2.1. 肌の表面構造 肌形状は,網目を形成している溝部分とそれに囲ま れる丘の部分,および毛穴で形成されている.溝部分 を皮溝,丘の部分を皮丘と呼び,これらを総称してキ メと呼ぶ(図 1)[1]. 体の肌において皮丘は四角形を 構成することが多いのに対して,顔では三角形を構成 することが多い.また毛穴は皮溝の交点に多く見られ, ほとんどにおいて開口部の面積と深さは比例している . そのほか,汗腺があり,皮丘の頂上に開いている. 図 1:肌表面の構造( [1]より転載) 2.2. 既存の肌分析手法 荒川ら [2]は,ビデオマイクロスコープによって肌表 面の拡大写真を撮影し得た画像データに,様々な処理 を施すことによって,皮溝,皮丘,毛穴を抽出し,「キ メの大きさ」「皮溝の平均幅」「毛穴の総面積」を算出 し,肌の現象評価との関係を分析している.また,小 林 [3]は肌表面から採取したレプリカを短直線マッチ ング法で解析処理することにより,皮溝と皮丘の特徴 を自動評価する技術を開発している. これらには,実際の肌をもとに分析を行っていると いう共通点がある.そのため,例えば皮溝や皮丘,毛 穴をそれぞれ独立に変化させて評価する,質感の印象 を表す形容詞のみが与えられ,それに対応する肌をコ ンピュータ上で再現してその印象を分析する,という 用途を想定することはできない. 2.3. 肌表現のための CG 技術 人体表現は CG による映像制作において非常に重要 な技術であり,肌表現はその一環として活発に研究さ れている.肌表現のための CG 技術はモデリングとレ ンダリングに大別される.モデリングは肌の微細形状 やその経年変化を定式化・構造化することに相当し, レンダリングは肌の光反射特性を定式化してその照度 を算出することに相当する. ここでは本研究に関係あるモデリング技術をいく つか紹介する.坂東ら [4]は主に手足を対象として,し わを構成する微細形状のモデリングを試みているが, 顔の肌の微細形状モデリングには,この手法とは異な る知見を要すると考えられる.Wu ら [5]は肌の経年変 化の再現を試みているが,毛穴などを含めた肌表面の 微細構造の再現を狙っていない.Haro ら [6]は肌の微細 形状の再現を狙っているが,この手法では実際の肌の 測定結果を必要としている. 3. 本研究の構想 我々は現在,印象と肌表面構造との関係を分析する システムの開発に取り組んでいる. これを以下のように定式化する.肌の印象を表現す る n 種類の形容詞を用意し,ある肌の印象 A を A=(a1, a2, .. an) と表現する.ただし ai は,その肌の i 番目の形容詞へ の適合度とする.また,肌表面の 3D モデリングを制 御する m 種類のパラメータを用意し,ある肌を生成す るためのパラメータ群 P を P=(p1, p2, .. pm) と定義する.ただし pi は,その肌を生成するための i 番目のパラメータとする。さらに、この肌 P を用いて ある顔形状 F を生成すると F=( f1,f2・・・fm,P)となる。 ただし fi は,顔を生成するための i 番目のパラメータ とする。この F より生成される顔により印象評価実験 に用いる.以上の定義に基づくと,我々が現在開発し ているシステムは,「顔をユーザに提示して回答させた 印象 A を集計し,それと P および F との関係を学習・ 分析する手法」に相当する. ここで効果的な学習・分析を実現するには,より多 くの状態の肌・顔・質感といった提示情報をデータベ ースに蓄積しておき,自在にユーザに提示できること が重要である.我々はこれらの提示情報を,図 2 のよ うなリレーショナルデータベースに蓄積することを想 定している.ここで 2.2 節に示した通り,既存手法の 大半は実写画像に基づいており,任意の A および P に 対応する肌を提示することは容易ではない.そこで 我々は,3 次元 CG 技術を適用して任意の P に対する 肌表面形状を生成することで,様々な状態の肌を蓄積 する,という手段をとることにした. 本研究全体の処理の流れを,図 3 に示す.本研究で は,3 次元 CG で再現した顔形状および肌表面形状の パラメータと印象の関係を学習・分析するだけでなく、 任意の印象に対する顔形状および肌表面形状を表示す る,という技術の確立も視野に入れている. 本研究の究極的な目標の一つに,化粧肌の質感を CG で表現する,という点がある.表 1 に示すように,化 粧肌の質感を左右する要因は大きく分けて三つあり, 本手法はその中で「素肌の肌形状部分」に位置してい